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ウェルトのついた靴の作り方は主に、グッドイヤー、九分仕立て、フルハンドということで大別されているかとは思いますが、正直個人的な見解としては、かなり別物だと思っています。
優劣をつける、ということではなく、別の物として認識してもらえたほうが、いいかなと。 今、生徒さんで、ジョンロブの靴をバラしていらっしゃる方がいます。自分自身昔、ジョンロブの靴をバラした事もあります。その時の物は、ビスポークのもので、フルハンドだったのですが(もちろん古着屋さんで買った物で、自分でオーダーしたわけではありませんが・・・笑)、現在分解しているのは、既製品のライングッドイヤー製法。他のメーカーのグッドイヤーの靴のバラしはやったことがあります。また、ノーザンプトンのジョンロブの工場にも実際見学に行かせてもらった事もあるのですが、色々と新しい発見等々あり、とても興味深く見せてもらってます。 ハンドソーンとの決定的な違いは、もちろん中底のリブ、ということになるかと思います。中底にテープで5ミリ程度のリブを貼付け、それとウェルトを縫い合わせる、というのが、グッドイヤーということになります。その為、中底自体は薄いものを使い、中物のコルクで、その5ミリのギャップを埋める、ということになります。その分、履き込んでいくうちに、コルクが沈んでいく、ということになります。 ハンドソーンの場合は、中底自体に段差をつけ、縫い合せていくので、しっかりとした厚みの中底を使用する事になります。その為、グッドイヤーに比べると、沈み込みは少ない、といわれています。 どっちがいいかは、それぞれの価値観で、選んで頂ければと思います。もちろん、上記以外にも違いは色々あるかとは思いますが。 九分仕立ては、ウェルトと縫い合せていく(すくい縫い)までは、ハンドで行い、その後の本底を縫い付けたり、ヒールを積み上げたりするところに関しては、機械で行う、という製法です。ハンドソーンの履き心地で、フルハンドよりは、断然コストダウンできる、といわれています。 色々とメーカーによって考え方があるので、何が正しいとかは無いと思いますが、自分としては、そこまで(すくい縫いまで)やったなら、全部自分の手の中で終えたい!という気持ちが大きく、フルハンドでやってます。うちでは、アッパーのミシン以外は本当に一切機械を使っていないので確かに、手間ひまかかる分、コストがあがってしまうのかもしれませんが、フルハンドの靴を極力皆様に履いて頂きたいと思って、日々コスト面でも技術面でも、努力していかなくては!と思っています。 それぞれに、それぞれの利点や、欠点があると思うので、あとは履いて頂く方が、どこにこだわって、どこに価値観をおくか、ということだと思います。 ■
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by boot_maker_oe
| 2007-11-26 16:54
| 靴
![]() 靴については、なんだか書きだすと、収拾がつかなくなりそうで、なかなか書けなかったのですが。 あまり蘊蓄っぽくなると嫌なんですけど、まあどうしてもそうなっちゃいますね。 写真は、参考商品(非売品)のボタンブーツのボタンホール部分の拡大です。 基本的には、ボタンやリボンといった革以外のものは、製品にもアンティーク品を使っています。主にウ゛ィクトリアンや、エドワーディアンの時代の物です。その時代のものは、本当に繊細で、それでいて手作業の雰囲気もあって、とても好きです。 写真の物に限らず、ボタンを使っている製品のヴィンテージラインの物に関しては、手縫いでのボタンホールになっています。 某雑誌等で、これが縫える職人さんは日本に数人しかいない、というような記述がありましたが、そういうことはないと思います。ただひたすらに面倒くさく、時間がかかってしまうので、コスト的にやらないだけだと思います。 ミシンでのボタンホールはどうしても、ミシンで縫ったあとに、ボタンが通る切り込みをいれるので、革の縁の部分が糸で覆われなくなってしまうので、それだとなんだか納得いかないというか、なんというか・・・へんな所に凝り性なんですかね。 カン止めもシャコ止めになっているのですが、ボタンホールは、そのシャコ止めの縫い方とほぼ同じです。 ■
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by boot_maker_oe
| 2007-11-12 14:18
| 靴
このところ、休み無しで仕事をしていたのですが、先日久々に休みを取り、レコードを買いに出かけました。
昔は、毎週のように渋谷、下北沢、水道橋、お茶の水、新宿、池袋等々レコード屋めぐりをしていたのですが、最近はネットという便利な物があって、レコードもネットで買う事が増えて、なかなかいけず。 でも、やっぱり自分の足で歩き回って、手に入れたレコードは、帰り道に、とてもワクワクします。 この頃は、レコード屋といっても、すっかりCDに占領され、かなり悲しい気分になります。でも、決してなくならない所を見ると、やはりレコードにしかない魅力を感じている人がまだまだいるのだなーと、少しうれしい気持ちにもなったりします。 靴を作りながら、いつもそんなレコードの音につつまれています。 ■
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by boot_maker_oe
| 2007-11-06 23:24
| 徒然
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