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革について少し。
去年の夏くらいから、ワインハイマーの革をあつかっています。 基本的に、黒だけしか日本に入ってきていない状況ですが。 ワインハイマーは、ウェインハイムとかヴァインハイマーとか、まあ英語読みとか、ドイツ語読みとかで若干読み方が違うようですが、一般的には、ワインハイマーですかね。 ドイツのタンナーで、カールフロイデンベルグを引き継いだ感じということです。 カールフロイデンベルグ、十数年前に潰れてしまったタンナーで、世の中では、かなり神格化(言い過ぎですか?)されているようです。 自分も昔、潰れる前に使ったことあるのですが、あんまりいい印象がなくて、それを引き継いだとされるワインハイマーにも、あまり興味が湧きませんでした。 ですが、近年、本当に革の質が悪くなってきて、何か新しく仕入れようということで、いい革はないかと探していて、ひとまず見てみるだけ、と思い革屋さんで見せていただいたところ、かなりいいものでした。 底材のレンデンバッハといい、ドイツの革は、良い物が多いです。 基本的には、黒のボックスカーフのみが、通常流通しているのですが(型押しのいわゆるエルメスのエピで使われているものは色々あるみたいなのですが、靴としてはちょっと使いづらいので)、たまたまサンプルで各1枚だけ入ってきていた”エクリプス”というシリーズの黒と焦茶があったので、ボックスカーフとともに仕入れてきました。 エクリプスは、少しオイルっぽいというか、しなやかで、若干マッドな感じで、風合いはタンニンなめしの革ににています。これが、とてもいい革で、是非これからも使っていきたかったのですが、もう作っていないようです。 今は、このエクリプスよりも3段階ほど柔らかいものが、入ってきているとのことですが(カバンに使用されているとのことです)、靴にするには、柔らかすぎて・・・残念です。 今日は、そのエクリプス(黒)で作った靴のご紹介です。 ![]() 2足目のオーダーをいただきましたI様。 お仕事で履かれるとのことで、落ち着いた感じにしたいとのことでした。 カメラマンさんで、以前雑誌の取材でお世話になり、その後最初のご注文をいただきました。 ありがとうございました。 この靴も、お仕事柄、パーティー会場などにいくことも多いとのことで、派手になりすぎないまでも、少し華やかな感じも欲しい、とご要望いただきました。 ![]() リボンがついているパーツは、スウェードになっていて、同じ黒でも、素材の違いで靴の表情にメリハリが出ると思います。 リボンも数種類の中から選んでいただき、デザインサンプルとはまた違った上品な感じになったのではないかと。 たくさん活躍してくれていることを願っています。 近々、エクリプスの焦茶で制作した靴もご紹介したいと思っています。 エクリプスは、残念ながら黒も焦茶も、もう既にご注文いただいて、なくなってしまいましたが、ボックスカーフも、かなり質がよいので、黒の上品な靴が欲しいという方は、是非。 ▲
by boot_maker_oe
| 2011-04-23 00:21
| 靴
東日本大震災から一ヶ月が経とうとしています。
まだまだ余震も収まりません。 今までも、色々と思うことはありましたが、自分が言うことでもないかな、と思ったり、頑張っていこう!ということの方が、前向きで大事なことではないかと思って来たのですが、今日は、少し、今自分が思っていることについて、書いてみようと思っています。 被災地の一日も早い復旧、そして元気な日本を心から願うばかりですが、それを妨げている最大の原因が福島第一原子力発電所の件ではないでしょうか。 原子力発電所の推進については賛否両論あるかと思いますが、今おこっている事故の対処方法をみているかぎり、トラブル発生時の対処が場当たり的であり、とても事前に用意されたものと思えません。 技術大国日本。・・・のはずでした。そして、現に、今回のことに対処できる技術を有しているはず・・・。 ですが、現在は、この状況。 現場の方々は、本当にどう言っていいのかわからないくらい頑張ってくださっていると思います。 それなのに、政府や東電が連携して、きちんと臨機応変に迅速な指示ができていないように感じます。 国民の安全を守る為ではなく、別のことに気が向いているのではないか、とも・・・。 政府は何を守ろうとして原発を建てたのか。 資源枯渇を憂慮して、将来の子孫を守るためか。 火力発電によるCO2削減で地球温暖化を抑制するためか。 現在の電力供給量では不可欠だと判断したからか。 それとも・・・。 政府と東電と原子力安全保安院、そして大手マスコミと解説者は、皆口を揃えて、”安全です”、”直ちに影響ありません”というばかり。ある意味、この強固なる結束力は見事です。 公共CMも数多く放映されていますが、その制作を司る機構の役員に東電関係者が在籍していることにも、若干の違和感を覚えずにはいられません。 東電の勝俣会長の会見で、震災発生時に、東電の会長と社長がマスコミ関係者等を引き連れて、中国旅行に行っていた(一部費用は東電負担)ということが、発覚しましたが、多くのマスコミでは、報道されなかったということに対しても、驚きを隠せません。 私たちは、何を信じて行動すればいいのか、わかりません。 ”デマに惑わされないでください” 公共CMは何度となく、繰り返し言います。 では、何が真実なのでしょうか。情報は、後だしで出されたりもしています。 海への低濃度(?国の基準の100倍〜1000倍とのこと。これって低濃度ですか)汚染水の放出問題。東電や、政府の皆々様は、これがどれだけ重大なことかお分かりになっているのか。もう東電や、ひいては日本だけの問題ではないということを、どれだけ理解されているのか。地球全体、そしてこれからの将来子々孫々に至るまで、影響を与えることだとお分かりになられているのでしょうか。 原子力発電は、”低コスト”、”地球にやさしい”エネルギー・・・。 つい先日、原子力発電所から10キロ圏内の御遺体が、放射線量が高く、収容できないというニュースがありました。こんなことが、日本で・・・もうつらすぎて、言葉も出ませんでした。 これが、”地球にやさしい”エネルギーかと。 農業、漁業、畜産、そしてその地域に暮らしていた方々、働いていた方々への賠償は、考えられないくらい膨大なものになるでしょう。また、海洋汚染、そして放射能物質、放射線による様々な問題に対する補償。いくらあっても足りないでしょう。 これのどこが、”低コスト”なのか。 自分自身、原子力に対して、なんとなく嫌だな、という気持ちはあっても、あまり考えてこなかったことは事実です。そこは、本当に反省しなくてはいけないことだと思います。 自分が使っている電気。 第二次世界大戦時に、日本に投下された核爆弾。 眼に見えない放射線。 処理の仕方さえ曖昧な、核燃料廃棄物。 使用済みといいながらも、膨大なエネルギーを発し続ける燃料棒。 原子力の様々な顔。 便利さと引き換えに、考えるということをしなくなってしまったのではないかと思います。 原子力を使うには、やはり、それを使う為に、色々なことを考えて、それに対してしっかりと対応できる力量を持たなくてはいけなかったのに、いつの間にか、”安全”ということを、あまり考えもしないで鵜呑みにして、国民はもとより、力量を有していないといけない人たちでさえ、大事なことを忘れてしまったから、こういう事態になって、あたふたするだけになってしまったのではないでしょうか。 これからの復興に向けて、この原子力発電所の事故は、大きな足枷になるでしょう。 日本という国に対する影響も計り知れません。 また、これから起る様々な災害時には、その度に原子力発電所の事故が起こりうることも、今まで以上に考慮しなければなりません。 ですが、放射能物質や放射線は見えませんし、及ぼす影響もまだまだ分かっていないことも多く、なかなか難しいことかもしれません。 だからこそ、一人一人が、色々な意見を交えつつ、みんなで考える時にきているのではないかと思います。 明日行われる統一地方選、東京都知事は、原子力を推進している某氏が、優勢だとか・・・。 日本国民はもちろん、世界中から支援が集まって(本当にありがたいです。台湾からの義援金の総額がなんと100億円以上だとか。)、みんなで頑張って復興していこう!としているのに、日本の政治家の皆さんだけは、違う方向を向いているように自分は感じます。 まあ、選んだのは、私たち国民なので、そこにも責任があるのかもしれません。 だからこそ、今まで以上に一人一人が考え、行動することによって変えられるものもあるのだと思います。 とにかく、しっかりと”自分が”考えるという、当たり前のことが、このところ、少し足りなかったのでは。と思います。 あくまでも、自分が思っていることなので、色々な意見があると思いますし、別に自分が正しいとも思っていません。 長々と偉そうなことを書いてしまいました。 つたない文章、内容、どうかご容赦ください。 ▲
by boot_maker_oe
| 2011-04-09 18:33
| 徒然
今日で、東日本大震災(今日、政府でこう呼ぶことが決定したそうです。そんなことも話し合うんですね)から3週間。
原子力発電所の事故がなかなか収束を見せない中でも、被災地の方々は、力強く活動され、自分達もそんな姿に逆に励まされているように感じます。 震災後、お客様に色々とうれしいお言葉もいただきました。 ある方は、地震の当日、当方の靴をお履きになられていたそうで、”都内から横浜まで歩いて帰ったけど、足にはまめ一つできなかったです。”と、メールをいただいたり、また、靴完成のお知らせをしたお客様には、”あの地震以来、何かを買おうという気持ちにはなれなかったのですが、メールを頂戴して出かける気持ちがでてきました。”と言っていただき、少なからず、自分達の仕事は、無駄ではないのかなと思えました。ありがとうございます。 被害が大きかった地域に親戚の方がおいでになるお客様からも、”現地は、復興に向けて着実に動いてます!”とのお言葉がありました。 まだまだ、ライフラインは整っていないですし、支援物資も行き渡らない状況が続いているそうですが、だからこそ、元気な自分達が沈んでいてもどうしようもない!と思いました。 ということで、今日は、納品させていただいた靴のご紹介をしたいと思います。 ![]() これは、3足目のご注文をいただいたH様。実はH様は、三越でのイベントの際もお買い上げいただいていて、なんと当方の靴は、5足目です!ありがとうございます。 ![]() 踵の部分が、紫色の革で、ビーディングの革も同じ紫のものを使用しました。リボンはベルベット調の焦茶を使用していますので、デザインサンプルよりもエレガントな雰囲気になったかと。 ![]() 相変わらず、写真をとるのがへたくそですが、この靴は、履いた方が素敵なので、H様に履いていただいたところを撮らせていただきました。 ![]() どちらの革もタンニンなめしの革なので、履くたびに、しっかりと馴染んでいい味が出てくると思います! それから、また後日きちんとご報告させていただきますが、夏(7月頃)に、新作展示会を開催致します。 その際に、メンズ/レディース共に、若干数のデザインサンプルの入れ替えを行います。(廃版になるものがでてきます)もし、気になるものがございましたら、お問い合わせいただけますと幸いです。 加えて、夏の展示会開催時に、レディースの価格改訂も予定いたしております。全てではありませんが、数点値上げを致します。今までは、なんとかレディースの値上げは、かなりの赤字覚悟で据え置いてきました。こんな時期に大変心苦しいのですが、近年の材料費の高騰により、本当に申し訳ありません。何卒ご理解いただけますと幸いです。 展示会までは、現在の価格のままでご注文承ります。 なかなか気持ちも落ち着かない日々が続きますが、1日も早く元気な日本になりますよう、私共も出来る限りのことをやっていきたい、と思っております。 ▲
by boot_maker_oe
| 2011-04-01 20:18
| 靴
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